微分積分学について

ワイエルシュトラス関数
ワイエルシュトラス関数の例です。

自分にとって分かりやすい説明を思いついた際のメモのページを作りました。

田島一郎著『解析入門』(岩波書店)の問題の解答のページを作りました。
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章

田島一郎著『解析入門』(岩波書店)のpp.162-163で紹介されている彌永昌吉先生の『例題の協同製作』のオリジナル版(1937年11月)を以下のページに掲載します。 田島一郎著『解析入門』(岩波書店)のpp.162-163で紹介されているものとはかなり異なる部分がありますので、参考になるかと思います。
高数研究第2巻第2号11月号(東京考へ方研究社発行)彌永昌吉著『例題の協同製作』(現在入力中。入力未完成)

連続性の公理の言い換え(宮島静雄著『微分積分学I』p.28 問1)

実数の任意の切断 $(A, B)$ に対しある実数 $a$ が存在して \[ A=(-\infty, a], B=(a, +\infty) \] または \[ A=(-\infty, a), B=[a, +\infty) \] が成り立つ。

証明

$(A, B)$ を実数の切断とする。連続性の公理により、

  1. $A$ に最大数が存在し、 $B$ には最小数が存在しない
  2. $A$ に最大数が存在せず、 $B$ に最小数が存在する

のいずれかが成り立つ。

(1)が成り立っていると仮定すると、 $A$ に最大数 $a$ が存在するから、任意の $x \in A$ に対し、 $x \leq a$ が成り立つ。逆に $x \in \mathbb{R}$ が $x \leq a$ を満たすならば、 $x \in A$ である。 なぜなら、 $x \in B$ ならば、切断の定義により、 $a < x$ となってしまうからである。よって、 $A = (-\infty, a], B = (a, \infty)$ である。

同様にして、(2)の場合には、 $A = (-\infty, a), B = [a, \infty)$ が成り立つ。■

宮島静雄著『微分積分学I』p.32 問2

$A, B \subset \mathbb{R}$ が空集合でないとするとき次の問に答えよ。

  1. $\sup A = \infty$ はどのように解釈したらよいだろうか?
  2. $\sup \alpha A = \alpha \sup A(\alpha \geq 0)$ を示せ。ただし $\alpha A := \{\alpha x | x \in A\}$.
  3. $\sup -A = - \inf A$ を示せ。ただし $-A := \{-x | x \in A\}$.
  4. $\sup (A+B) = \sup A + \sup B$ を示せ。ただし $A + B := \{x + y | x \in A, y \in B\}$.

解答

  1. $A$ が上に有界でないと解釈する。
  2. $\alpha = 0$ のときには明らかに成り立つから、 $\alpha \ne 0$ の場合を示す。 $x \in \alpha A$ とすれば、 $x=\alpha a, a \in A$ と書ける。 $a \leq \sup A, 0 < \alpha$ で あるから $x = \alpha a \leq \alpha \sup A$ である。よって、 $\alpha \sup A$ は $\alpha A$ の上界である。 $\varepsilon$ を任意の正の実数とすれば、 $\sup A - \frac{\varepsilon}{\alpha} < x$ となるような $x \in A$ が 存在する。この不等式の両辺に $\alpha > 0$ をかければ、 $\alpha \sup A - \varepsilon < \alpha x$ となる。これは $\alpha \sup A - \varepsilon$ が $\alpha A$ の上界ではないことを意味する。したがって、$\alpha \sup A$ は $\alpha A$ の最小上界である。
  3. $x \in -A$ とすると、 $x=-a, a \in A$ と書ける。当然、 $\inf A \leq a$ が成り立つ。よって、 $x=-a \leq - \inf A$ が成り立ち、 $- \inf A$ が $-A$ の上界であることが分かる。 $a < \inf A + \varepsilon$ となるような $a \in A$ が存在する。 $- \inf A - \varepsilon < -a \in -A$ であるから、 $- \inf A - \varepsilon$は $-A$ の上界ではない。したがって、 $- \inf A$ は $-A$ の最小上界である。
  4. $x \in A + B$ とすると、 $x=a+b, a \in A, b \in B$ と書ける。 $a \leq \sup A, b \leq \sup B$ であるから、 $x=a+b \leq \sup A + \sup B$ が成り立つ。よって、 $\sup A + \sup B$ は $A + B$ の上界である。 $\varepsilon$ を任意の正の実数とする。 $\sup A - \frac{\varepsilon}{2} < a, \sup B - \frac{\varepsilon}{2} < b$ となるような $a \in A, b \in B$ が 存在する。 $\sup A + \sup B - \varepsilon < a + b \in A + B$ であるから、 $\sup A + \sup B - \varepsilon$ は $A + B$ の上界ではない。したがって、 $\sup A + \sup B$ は $A + B$ の最小上界である。

宮島静雄著『微分積分学I』p.38 問3

$\displaystyle \lim_{n \to \infty} x_n = a$ ならば $\displaystyle \lim_{n \to \infty} |x_n| = |a|$となることを示せ。

解答

三角不等式により、
$|x_n| - |a| \leq |x_n - a|$
$|a| - |x_n| \leq |a - x_n| = |x_n - a|$
が成り立つ。

上の二つの不等式をまとめると、
$||x_n| - |a|| \leq |x_n - a|$
が成り立つ。

$\displaystyle \lim_{n \to \infty} x_n = a$ だから、任意の $\varepsilon > 0$ に対して、自然数 $N$ が存在して、 $n \geq N$ であるとき、
$||x_n| - |a|| \leq |x_n - a| < \varepsilon$
が成り立つ。これは、
$\displaystyle \lim_{n \to \infty} |x_n| = |a|$
が成り立つことを意味する。

合成関数の微分(Michael Spivak著『Calculus 3rd Edition』p.176)

$g$ が $a$ で微分可能で、 $f$ が $g(a)$ で微分可能であるならば、 $f \circ g$ は $a$ で微分可能であり、 \[ (f \circ g)^{'}(a) = f^{'}(g(a)) \cdot g^{'}(a) \] が成り立つ。

証明

以下の関数 $\phi$ を考える。 \[ \phi(h) = \begin{cases} {\Large \frac{f(g(a+h))-f(g(a))}{g(a+h)-g(a)}} & \text{$g(a+h)-g(a) \neq 0$ のとき} \\\\ f^{'}(g(a)) & \text{$g(a+h)-g(a) = 0$ のとき} \end{cases} \] 以下に示すように $\phi$ は $0$ で連続である。

$f$ は $g(a)$ で微分可能であるから、任意の $\varepsilon >0$ に対して、 $\delta^{'} > 0$ が存在して、 \[ 0 < |k| < \delta^{'} \text{ ならば、 } \Biggl|\frac{f(g(a)+k)-f(g(a))}{k} - f^{'}(g(a))\Biggr| < \varepsilon \] となる。 $g$ は $a$ で微分可能であるから、もちろん、 $a$ で連続である。よって、 $\delta > 0$ が存在して、 \[ |h| < \delta \text{ ならば、 } |g(a+h) - g(a)| < \delta^{'} \] となる。

$h$ を $|h| < \delta$ であるような任意の実数とする。このとき $|g(a+h)-g(a)| < \delta^{'}$ である。

$g(a+h) - g(a) \ne 0$ ならば、 \begin{align*} |\phi(h) - f^{'}(g(a))| &= \Biggl|\frac{f(g(a+h))-f(g(a))}{g(a+h)-g(a)} - f^{'}(g(a))\Biggr| \\ &= \Biggl|\frac{f(g(a)+(g(a+h)-g(a)))-f(g(a))}{g(a+h)-g(a)} - f^{'}(g(a))\Biggl| < \varepsilon \end{align*}

$g(a+h) - g(a) = 0$ ならば、 \[ |\phi(h) - f^{'}(g(a))| = |f^{'}(g(a)) - f^{'}(g(a))| = 0 < \varepsilon \]

以上より、 \[ \lim_{h \to 0} \phi(h) = \phi(0) = f^{'}(g(a)) \] が示された。

$h \ne 0$ のとき、 $g(a+h) - g(a) \ne 0$ の場合も、 $g(a+h) - g(a) = 0$ の場合も、どちらの場合も、 \[ \frac{f(g(a)+h)-f(g(a))}{h} = \phi(h) \cdot \frac{g(a+h)-g(a)}{h} \] が成り立つ。

以上より、 \begin{align*} (f \circ g)^{'}(a) &= \lim_{h \to 0} \frac{f(g(a+h))-f(g(a))}{h} \\ &= \lim_{h \to 0} \phi(h) \cdot \lim_{h \to 0} \frac{g(a+h)-g(a)}{h} \\ &= f^{'}(g(a)) \cdot g^{'}(a) \end{align*} が成り立つ。■


Michael Spivak著『Calculus 3rd Edition』

pp.178-179

上の関数に関する等式がかならずしも正しくはないと注意をしている。

例えば、 $f(x)=|x|, g(x)=-|x|$ のとき、 $(f + g)^{'}$ の定義域は、 $\mathbb{R}$ であるが、 $f^{'}$ および $g^{'}$ の定義域は、 $\mathbb{R} \setminus \{0\}$ であるから、 $f^{'} + g^{'}$ の 定義域は、(それらの共通部分である) $\mathbb{R} \setminus \{0\}$ である。


Michael Spivak著『Calculus 3rd Edition』

p.182 第10章 問題15

  1. $f + g$ が $a$ で微分可能であるならば、必然的に $f$ および $g$ は $a$ で微分可能であるか?
  2. $f \cdot g$ および $f$ が $a$ で微分可能であるとき、 $f$ にどんな条件を付ければ、 $g$ は $a$ で微分可能となるか?

解答

  1. $f(x) = |x|, g(x) = -|x|$ とすれば、 $(f + g)(x) = |x| - |x| = 0$ は $x=0$ で微分可能であるが、 $f$ も $g$ も $x=0$ で微分可能ではない。
  2. $f(a) \ne 0$ であればよい。

Michael Spivak著『Calculus 3rd Edition』

p.192 平均値の定理の系3

ある区間内のすべての $x$ に対して、 $0 < f^{'}(x)$ であるならば、 $f$ はその区間上で単調増加である。 その区間内のすべての $x$ に対して、 $f^{'}(x) < 0$ であるならば、 $f$ はその区間上で単調減少である。

証明

$0 < f^{'}(x)$ である場合を考える。 $a, b$ を $a < b$ であるような区間内の2点とする。 $f$ は考えている 区間内で微分可能であるから、当然 $[a, b]$ で連続、 $(a, b)$ で微分可能である。よって、平均値の定理より、 \[ f^{'}(x) = \frac{f(b)-f(a)}{b-a} \] であるような $x \in (a, b)$ が存在する。ところが、 すべての $x \in (a, b)$ に対して、 $0 < f^{'}(x)$ であるから、 \[ 0 < \frac{f(b)-f(a)}{b-a} \] である。 $0 < b - a$ であるから、 $f(a) < f(b)$ が成り立つ。 すべての $x$ に対して、 $f^{'}(x) < 0$ であるときの証明は読者にまかせる。■


Michael Spivak著『Calculus 3rd Edition』

p.200 定理7

$f$ を $a$ で連続な関数とし、 $f^{'}(x)$ が $a$ を含むある区間内の $a$ を除くすべての $x$ に対して 存在するとする。さらに、 $\displaystyle \lim_{x \to a} f^{'}(x)$ が存在するとする。このとき、 $f^{'}(a)$ もまた存在し、 \[ f^{'}(a) = \lim_{x \to a} f^{'}(x) \] が成り立つ。

証明

定義により、 \[ f^{'}(a) = \lim_{h \to 0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h}. \] 十分小さな $h > 0$ に対して、 $f$ は $[a, a+h]$ 上で連続になり、 $(a, a+h)$ で微分可能になるであろう。(同様の主張が十分小さな $h < 0$ に対して成り立つ。)平均値の定理により、 \[ \frac{f(a+h)-f(a)}{h} = f^{'}(\alpha_h) \] となるような実数 $\alpha_h \in (a, a+h)$ が存在する。今、 $\alpha_h \in (a, a+h)$ であるから、 $h$ が $0$ に近づくとき、 $\alpha_h$ は $a$ に近づく。そして、 $\displaystyle \lim_{x \to a} f^{'}(x)$ が存在するから、 \[ f^{'}(a) = \lim_{h \to 0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h} = \lim_{h \to 0} f^{'}(\alpha_h) = \lim_{x \to a} f^{'}(x). \] ■

証明($\epsilon$ - $\delta$ 式)

仮定により、 $a < x < a + \delta_1$ で $f(x)$ が微分可能であるような $\delta_1 > 0$ が存在する。仮定により、 $\displaystyle \lim_{x \to a} f^{'}(x) = \displaystyle \lim_{x \to a+} f^{'}(x) = b$ となるような $b$ が存在する。 $\varepsilon$ を任意の正の実数とする。 $0 < x-a < \delta$ であるならば、 $|f^{'}(x) - b| < \varepsilon$ が成り立つような $\delta_1 > \delta > 0$ が存在する。 $h$ を $0 < h < \delta$ を満たす任意の実数とする。 $f$ は $[a, a+h]$ で連続、 $(a, a+h)$ で微分可能であるから、平均値の定理により、 \[ \frac{f(a+h)-f(a)}{h} = f^{'}(\xi) \] となるような実数 $\xi \in (a, a+h)$ が存在する。 $0 < \xi - a < h < \delta$ であるから、 \[ \Biggl|\frac{f(a+h)-f(a)}{h} - b\Biggr| = |f^{'}(\xi) - b| < \varepsilon \] となる。すなわち、 $\displaystyle \lim_{h \to +0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h} = b$ である。

仮定により、 $a - \delta_1 < x < a$ で $f(x)$ が微分可能であるような $\delta_1 > 0$ が存在する。仮定により、 $\displaystyle \lim_{x \to a} f^{'}(x) = \displaystyle \lim_{x \to a-} f^{'}(x) = b$ となるような $b$ が存在する。 $\varepsilon$ を任意の正の実数とする。 $-\delta < x-a < 0$ であるならば、 $|f^{'}(x) - b| < \varepsilon$ が成り立つような $\delta_1 > \delta > 0$ が存在する。 $h$ を $-\delta < h < 0$ を満たす任意の実数とする。 $f$ は $[a+h, a]$ で連続、 $(a+h, a)$ で微分可能であるから、平均値の定理により、 \[ \frac{f(a+h)-f(a)}{h} = \frac{f(a)-f(a+h)}{-h} = f^{'}(\xi) \] となるような実数 $\xi \in (a+h, a)$ が存在する。 $-\delta < h < \xi - a < 0$ であるから、 \[ \Biggl|\frac{f(a+h)-f(a)}{h} - b\Biggr| = |f^{'}(\xi) - b| < \varepsilon \] となる。すなわち、 $\displaystyle \lim_{h \to -0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h} = b$ である。

以上より、 $f^{'}(a) = b = \displaystyle \lim_{x \to a} f^{'}(x)$ であることが示された。■


Michael Spivak著『Calculus 4th Edition』

p.214 問題60

  1. $f$ は $[a, b]$ で微分可能であるとする。 $f$ が $[a, b]$ での最小値を $a$ でとるならば、 $f^{'}(a) \geq 0$ であり、 $b$ でとるならば、 $f^{'}(b) \leq 0$ であることを証明せよ。
  2. 解答

    $f$ が $[a, b]$ での最小値を $a$ でとるとする。 $a + h \leq b$ であるような正の実数を $h$ とすれば、 $f(a+h) \geq f(a)$ が成り立つ。 $h$ は正だから、 $\frac{f(a+h)-f(a)}{h} \geq 0$ が成り立つ。よって、 $f^{'}(a) = \displaystyle \lim_{h \to +0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h} \geq 0$ が成り立つ。

    $f$ が $[a, b]$ での最小値を $b$ でとるとする。 $a \leq b + h$ であるような負の実数を $h$ とすれば、 $f(b+h) \geq f(b)$ が成り立つ。 $h$ は負だから、 $\frac{f(b+h)-f(b)}{h} \leq 0$ が成り立つ。よって、 $f^{'}(b) = \displaystyle \lim_{h \to -0} \frac{f(b+h)-f(b)}{h} \leq 0$ が成り立つ。

  3. $f^{'}(a) < 0$ かつ $f^{'}(b) > 0$ とする。 $(a, b)$ 内のある点 $x$ に対して、 $f^{'}(x) = 0$ であることを示せ。ヒント: $[a, b]$ における $f$ の最小値を考えよ。なぜ $x$ は $(a, b)$ 内のどこかでなければならないか?
  4. 解答

    $f^{'}(a) < 0$ かつ $f^{'}(b) > 0$ だから、(a)より、 $[a, b]$ において $f$ は最小値を $a$ および $b$ ではとらない。したがって、 $(a, b)$ 内のある点 $x$ で、 $f$ は最小値をとる。定理1より、 $f^{'}(x) = 0$ である。

  5. $f^{'}(a) < c < f^{'}(b)$ であるならば、 $(a, b)$ 内のある点 $x$ に対して、 $f^{'}(x) = c$ であることを証明せよ。(この結果はダルブーの定理として知られている。 $f^{'}$ は連続であるとは仮定されていないことに注意せよ。)ヒント:(b)が適用できるような適当な関数を作れ。
  6. 解答

    $F(x) = f(x) - c x$ とすれば、 $F^{'}(a) = f^{'}(a) - c < 0$ かつ $F^{'}(b) = f^{'}(b) - c > 0$ である。(b)より、 $(a, b)$ 内のある点 $x$ に対して、 $F^{'}(x) = f^{'}(x) - c = 0$ である。

Michael Spivak著『Calculus 4th Edition』

p.214 問題60'

  1. $f$ は $[a, b]$ で微分可能であるとする。 $f$ が $[a, b]$ での最大値を $a$ でとるならば、 $f^{'}(a) \leq 0$ であり、 $b$ でとるならば、 $f^{'}(b) \geq 0$ であることを証明せよ。
  2. 解答

    $f$ が $[a, b]$ での最大値を $a$ でとるとする。 $a + h \leq b$ であるような正の実数を $h$ とすれば、 $f(a+h) \leq f(a)$ が成り立つ。 $h$ は正だから、 $\frac{f(a+h)-f(a)}{h} \leq 0$ が成り立つ。よって、 $f^{'}(a) = \displaystyle \lim_{h \to +0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h} \leq 0$ が成り立つ。

    $f$ が $[a, b]$ での最大値を $b$ でとるとする。 $a \leq b + h$ であるような負の実数を $h$ とすれば、 $f(b+h) \leq f(b)$ が成り立つ。 $h$ は負だから、 $\frac{f(b+h)-f(b)}{h} \geq 0$ が成り立つ。よって、 $f^{'}(b) = \displaystyle \lim_{h \to -0} \frac{f(b+h)-f(b)}{h} \geq 0$ が成り立つ。

  3. $f^{'}(a) > 0$ かつ $f^{'}(b) < 0$ とする。 $(a, b)$ 内のある点 $x$ に対して、 $f^{'}(x) = 0$ であることを示せ。ヒント: $[a, b]$ における $f$ の最大値を考えよ。なぜ $x$ は $(a, b)$ 内のどこかでなければならないか?
  4. 解答

    $f^{'}(a) > 0$ かつ $f^{'}(b) < 0$ だから、(a)より、 $[a, b]$ において $f$ は最大値を $a$ および $b$ ではとらない。したがって、 $(a, b)$ 内のある点 $x$ で、 $f$ は最大値をとる。定理1より、 $f^{'}(x) = 0$ である。

  5. $f^{'}(a) > c > f^{'}(b)$ であるならば、 $(a, b)$ 内のある点 $x$ に対して、 $f^{'}(x) = c$ であることを証明せよ。(この結果はダルブーの定理として知られている。 $f^{'}$ は連続であるとは仮定されていないことに注意せよ。)ヒント:(b)が適用できるような適当な関数を作れ。
  6. 解答

    $F(x) = f(x) - c x$ とすれば、 $F^{'}(a) = f^{'}(a) - c > 0$ かつ $F^{'}(b) = f^{'}(b) - c < 0$ である。(b)より、 $(a, b)$ 内のある点 $x$ に対して、 $F^{'}(x) = f^{'}(x) - c = 0$ である。

Michael Spivak著『Calculus 4th Edition』

p.214 問題61

$f$ は $a$ を含むある区間で微分可能であるが、 $f^{'}$ は $a$ で不連続であるとする。このとき、以下を証明せよ。

  1. 片側極限 $\displaystyle \lim_{x \to a+} f^{'}(x)$ および $\displaystyle \lim_{x \to a-} f^{'}(x)$ は共には存在し得ない。(これは単に定理7に基づき小さな変更を施したものにすぎない。)
  2. 解答

    $\displaystyle \lim_{x \to a+} f^{'}(x)$ および $\displaystyle \lim_{x \to a-} f^{'}(x)$ が共に存在すると仮定し、その極限値をそれぞれ $b_1, b_2$ とする。 仮定により、 $a - \delta_1 < x < a + \delta_1$ で $f(x)$ が微分可能であるような $\delta_1 > 0$ が存在する。

    $\varepsilon$ を任意の正の実数とする。仮定により、 $0 < x-a < \delta$ であるならば、 $|f^{'}(x) - b_1| < \varepsilon$ となるような $\delta_1 > \delta > 0$ が存在する。 $h$ を $0 < h < \delta$ を満たす任意の実数とする。 $f$ は $[a, a+h]$ で連続、 $(a, a+h)$ で微分可能であるから、平均値の定理により、 \[ \frac{f(a+h)-f(a)}{h} = f^{'}(\xi) \] となるような実数 $\xi \in (a, a+h)$ が存在する。 $0 < \xi - a < h < \delta$ であるから、 \[ \Biggl|\frac{f(a+h)-f(a)}{h} - b_1\Biggr| = |f^{'}(\xi) - b_1| < \varepsilon \] となる。すなわち、 $\displaystyle \lim_{h \to +0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h} = b_1$ である。

    $\varepsilon$ を任意の正の実数とする。仮定により、 $-\delta < x-a < 0$ であるならば、 $|f^{'}(x) - b_2| < \varepsilon$ となるような $\delta_1 > \delta > 0$ が存在する。 $h$ を $-\delta < h < 0$ を満たす任意の実数とする。 $f$ は $[a+h, a]$ で連続、 $(a+h, a)$ で微分可能であるから、平均値の定理により、 \[ \frac{f(a+h)-f(a)}{h} = \frac{f(a)-f(a+h)}{-h} = f^{'}(\xi) \] となるような実数 $\xi \in (a+h, a)$ が存在する。 $-\delta < h < \xi - a < 0$ であるから、 \[ \Biggl|\frac{f(a+h)-f(a)}{h} - b_2\Biggr| = |f^{'}(\xi) - b_2| < \varepsilon \] となる。すなわち、 $\displaystyle \lim_{h \to -0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h} = b_2$ である。

    仮定により、 $f$ は $a$ で微分可能であるから、 $b_1 = b_2$ でなければならない。すると、定理7より、 $f^{'}$ は $a$ で連続であることになってしまい、仮定に反する。

  3. これらの片側極限は極限値に値 $+\infty$ もしくは、 $-\infty$ を許したとしても、共には存在し得ない。ヒント:ダルブーの定理を利用せよ。(問題60)
  4. 解答

    $\displaystyle \lim_{x \to a+} f^{'}(x) = +\infty$ とする。仮定により、 $a - \delta_1 < x < a + \delta_1$ で $f(x)$ が微分可能であるような $\delta_1 > 0$ が存在する。 仮定により、 $0 < x-a < \delta$ であるならば、 $f^{'}(a) + 1 < f^{'}(x)$ となるような $\delta_1 > \delta > 0$ が存在する。 $0 < x_0 - a < \delta$ とすると、 $f^{'}(a) < f^{'}(a) + \frac{1}{2} < f^{'}(x_0)$ であり、かつ $f(x)$ は $[a, x_0]$ で微分可能である。ダルブーの定理より、 $(a, x_0)$ 内のある点 $x$ に対して、 $f^{'}(x) = f^{'}(a) + \frac{1}{2}$ となる。一方、 $0 < x - a < x_0 - a < \delta$ であるから、 $f^{'}(a) + \frac{1}{2} < f^{'}(a) + 1 < f^{'}(x)$ でもある。これは矛盾である。$\displaystyle \lim_{x \to a+} f^{'}(x) = -\infty, \displaystyle \lim_{x \to a-} f^{'}(x) = +\infty, \displaystyle \lim_{x \to a-} f^{'}(x) = -\infty$ の場合も同様に矛盾が導かれる。

Michael Spivak著『Calculus 4th Edition』

p.215 問題62

$|f|$ は微分可能であるが、 $f$ はそうでないような関数 $f$ を見つけることはやさしい。例えば、有理数である $x$ に対して、 $f(x) = 1$ であり、 無理数である $x$ に対して、 $f(x) = -1$ とすればよい。この例では、 $f$ は 連続でさえないが、これは単なる偶然ではない: $|f|$ が $a$ で微分可能であり、 $f$ が $a$ で連続ならば、 $f$ は $a$ で微分可能でもあることを証明せよ。ヒント: $f(a) = 0$ であるような $a$ のみ考えれば十分である。なぜか? この場合、 $|f|^{'}(a)$ は何でなければならないか?

解答

$f(a) > 0$ のとき、 $f$ は $a$ で連続であるから、 $\varepsilon = f(a) > 0$ に対し、 $|x - a| < \delta$ であるとき、 $|f(x) - f(a)| < \varepsilon = f(a)$ となるような $\delta > 0$ が存在する。 $|x - a| < \delta$ ならば、 $-f(a) < f(x) - f(a), 0 < f(x)$ である。 $|x - a| < \delta$ ならば、 $|f(x)| = f(x)$ である。 $|f|$ は $a$ で 微分可能であるから、任意の $\varepsilon > 0$ に対して、 $0 < |x - a| < \delta_1$ ならば、 \[ \Biggl|\frac{|f|(x) - |f|(a)}{x - a} - |f|^{'}(a)\Biggr| < \varepsilon \] となるような $\delta_1 > 0$ が存在する。 $\delta_2 = \min(\delta, \delta_1)$ とすると、 $0 < |x - a| < \delta_2$ ならば、 \[ \Biggl|\frac{f(x) - f(a)}{x - a} - |f|^{'}(a)\Biggr| = \Biggl|\frac{|f|(x) - |f|(a)}{x - a} - |f|^{'}(a)\Biggr| < \varepsilon \] である。これは、 $f(x)$ が微分可能であり、 $\displaystyle \lim_{x \to a} \frac{f(x) - f(a)}{x - a} = |f|^{'}(a)$ であることを示す。

$f(a) < 0$ のとき、 $f$ は $a$ で連続であるから、 $\varepsilon = -f(a) > 0$ に対し、 $|x - a| < \delta$ であるとき、 $|f(x) - f(a)| < \varepsilon = -f(a)$ となるような $\delta > 0$ が存在する。 $|x - a| < \delta$ ならば、 $f(x) - f(a) < -f(a), f(x) < 0$ である。 $|x - a| < \delta$ ならば、 $|f(x)| = -f(x)$ である。 $|f|$ は $a$ で 微分可能であるから、任意の $\varepsilon > 0$ に対して、 $0 < |x - a| < \delta_1$ ならば、 \[ \Biggl|\frac{|f|(x) - |f|(a)}{x - a} - |f|^{'}(a)\Biggr| < \varepsilon \] となるような $\delta_1 > 0$ が存在する。 $\delta_2 = \min(\delta, \delta_1)$ とすると、 $0 < |x - a| < \delta_2$ ならば、 \[ \Biggl|\frac{f(x) - f(a)}{x - a} - (-|f|^{'}(a))\Biggr| = \Biggl|\frac{-f(x) - (-f(a))}{x - a} - |f|^{'}(a)\Biggr| = \Biggl|\frac{|f|(x) - |f|(a)}{x - a} - |f|^{'}(a)\Biggr| < \varepsilon \] である。これは、 $f(x)$ が微分可能であり、 $\displaystyle \lim_{x \to a} \frac{f(x) - f(a)}{x - a} = -|f|^{'}(a)$ であることを示す。

最後に $f(a) = 0$ のときを考える。 $x > a$ ならば、 \[ \frac{|f|(x) - |f|(a)}{x - a} = \frac{|f|(x)}{x - a} \geq 0 \] である。 $x < a$ ならば、 \[ \frac{|f|(x) - |f|(a)}{x - a} = \frac{|f|(x)}{x - a} \leq 0 \] である。 よって、 \[ \lim_{x \to a} \frac{|f|(x) - |f|(a)}{x - a} = \lim_{x \to a+} \frac{|f|(x) - |f|(a)}{x - a} \geq 0 \] \[ \lim_{x \to a} \frac{|f|(x) - |f|(a)}{x - a} = \lim_{x \to a-} \frac{|f|(x) - |f|(a)}{x - a} \leq 0 \] である。以上から、 \[ \lim_{x \to a} \frac{|f|(x) - |f|(a)}{x - a} = 0 \] である。したがって任意の $\varepsilon > 0$ に対して、 $0 < |x - a| < \delta$ ならば、 \[ \Biggl|\frac{f(x) - f(a)}{x - a} - 0\Biggr| = \Biggl|\frac{f(x)}{x - a}\Biggr| = \Biggl|\frac{|f(x)|}{x - a}\Biggr| = \Biggl|\frac{|f|(x) - |f|(a)}{x - a} - 0\Biggr| < \varepsilon \] となるような $\delta > 0$ が存在する。これは、 $f(x)$ が微分可能であり、 $\displaystyle \lim_{x \to a} \frac{f(x) - f(a)}{x - a} = 0$ であることを示す。

Michael Spivak著『Calculus 3rd Edition』

p.201 定理9(ロピタルの定理)

$\displaystyle \lim_{x \to a} f(x) = 0$ かつ $\displaystyle \lim_{x \to a} g(x) = 0$ とし、 $\displaystyle \lim_{x \to a} \frac{f^{'}(x)}{g^{'}(x)}$ が存在すると仮定する。このとき、 $\displaystyle \lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)}$ が存在し、 \[ \lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{x \to a} \frac{f^{'}(x)}{g^{'}(x)} \] が成り立つ。(定理7はこの定理の特別な場合であることに注意せよ。)

証明

$\displaystyle \lim_{x \to a} \frac{f^{'}(x)}{g^{'}(x)}$ が存在するという仮定は二つの暗黙の前提を含む:

  1. $f^{'}(x)$ および $g^{'}(x)$ が存在するような区間 $(a-\delta, a+\delta) \setminus \{a\}$ が存在する。
  2. 上の区間において、 $g^{'}(x) \ne 0$ である。

他方、 $f$ および $g$ は $a$ において定義されているという前提さえない。(必要ならば $f(a)$ および $g(a)$ の値を変更することにより)$f(a) = g(a) = 0$ と定義すれば、 $f$ および $g$ は $a$ で連続である。 $a < x < a + \delta$ であるならば、平均値の定理とコーシーの平均値の定理が区間 $[a, x]$ 上で $f$ および $g$ にあてはまる。(同様の主張が $a - \delta < x < a$ に対しても成り立つ。)初めに、 $g$ に平均値の定理を適用すると、 $g(x) \ne 0$ であることがわかる。なぜなら、 $g(x) = 0$ であるならば、 $g^{'}(x_1) = 0$ であるような $x_1 \in (a, x)$ が存在することになり、(2) に矛盾するからである。今、コーシーの平均値の定理を $f$ および $g$ に適用すれば、 \[ (f(x)-0) \cdot g^{'}(\alpha_x) = (g(x) - 0) \cdot f^{'}(\alpha_x) \] すなわち、 \[ \frac{f(x)}{g(x)} = \frac{f^{'}(\alpha_x)}{g^{'}(\alpha_x)} \] となるような実数 $\alpha_x \in (\alpha, x)$ が存在することがわかる。今、 $\alpha_x \in (a, x)$ であるから、 $\alpha_x$ は、 $x$ が $a$ に近づくとき、 $a$ に近づく。 $\displaystyle \lim_{y \to a} \frac{f^{'}(y)}{g^{'}(y)}$ が存在するから、 \[ \lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{x \to a} \frac{f^{'}(\alpha_x)}{g^{'}(\alpha_x)} = \lim_{y \to a} \frac{f^{'}(y)}{g^{'}(y)} \] が成り立つ。(もう一度、読者には、この部分の議論の詳細を埋めることを勧める。)

証明($\epsilon$ - $\delta$ 式)

$\displaystyle \lim_{x \to a} \frac{f^{'}(x)}{g^{'}(x)}$ が存在するという仮定は二つの暗黙の前提を含む:

  1. $f^{'}(x)$ および $g^{'}(x)$ が存在するような区間 $(a-\delta_1, a+\delta_1) \setminus \{a\}$ が存在する。
  2. 上の区間において、 $g^{'}(x) \ne 0$ である。

$\varepsilon$ を任意の正の実数とする。 $\displaystyle \lim_{y \to a} \frac{f^{'}(y)}{g^{'}(y)} = b$ となるような実数 $b$ が存在するから、 $\delta \leq \delta_1$ が存在して、 $y \in (a-\delta, a+\delta) \setminus \{a\}$ ならば、 \[ \Biggl|\frac{f^{'}(y)}{g^{'}(y)} - b\Biggr| < \varepsilon \] が成り立つ。 $f(a) = g(a) = 0$ ( $f$ および $g$ が $a$ で定義されている場合には、関数値を $0$ に変更する。)と定義すれば、 $f$ および $g$ は $a$ で連続である。

$x$ を $(a, a + \delta)$ の任意の実数とする。 $f$ および $g$ は $[a, x]$ で連続、 $(a, x)$ で微分可能である。コーシーの平均値の定理を $f$ および $g$ に適用すれば、 \[ (f(x)-0) \cdot g^{'}(\alpha_x) = (g(x) - 0) \cdot f^{'}(\alpha_x) \] となるような実数 $\alpha_x \in (\alpha, x)$ が存在することがわかる。$g(x) \ne 0$ である。$g(x) = 0$ であるならば、平均値の定理により、 $g^{'}(x_1) = 0$ であるような $x_1 \in (a, x)$ が存在することになり、(2) に矛盾するからである。両辺を $g^{'}(\alpha_x) \cdot g(x)$ で割ると、 \[ \frac{f(x)}{g(x)} = \frac{f^{'}(\alpha_x)}{g^{'}(\alpha_x)} \] となる。今、 $\alpha_x \in (a, x) \subset (a-\delta, a+\delta) \setminus \{a\}$ であるから、 \[ \Biggl|\frac{f^{'}(\alpha_x)}{g^{'}(\alpha_x)} - b\Biggr| < \varepsilon \] が成り立つ。よって、 \[ \Biggl|\frac{f(x)}{g(x)} - b\Biggr| < \varepsilon \] が成り立つ。以上より、 \[ \lim_{x \to a+} \frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{y \to a} \frac{f^{'}(y)}{g^{'}(y)} \] が成り立つ。

$x$ を $(a - \delta, a)$ の任意の実数とする。 $f$ および $g$ は $[x, a]$ で連続、 $(x, a)$ で微分可能である。コーシーの平均値の定理を $f$ および $g$ に適用すれば、 \[ (0 - f(x)) \cdot g^{'}(\alpha_x) = (0 - g(x)) \cdot f^{'}(\alpha_x) \] となるような実数 $\alpha_x \in (x, \alpha)$ が存在することがわかる。$g(x) \ne 0$ である。$g(x) = 0$ であるならば、平均値の定理により、 $g^{'}(x_1) = 0$ であるような $x_1 \in (x, a)$ が存在することになり、(2) に矛盾するからである。両辺を $-g^{'}(\alpha_x) \cdot g(x)$ で割ると、 \[ \frac{f(x)}{g(x)} = \frac{f^{'}(\alpha_x)}{g^{'}(\alpha_x)} \] となる。今、 $\alpha_x \in (x, a) \subset (a-\delta, a+\delta) \setminus \{a\}$ であるから、 \[ \Biggl|\frac{f^{'}(\alpha_x)}{g^{'}(\alpha_x)} - b\Biggr| < \varepsilon \] が成り立つ。よって、 \[ \Biggl|\frac{f(x)}{g(x)} - b\Biggr| < \varepsilon \] が成り立つ。以上より、 \[ \lim_{x \to a-} \frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{y \to a} \frac{f^{'}(y)}{g^{'}(y)} \] が成り立つ。

まとめると、 \[ \lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{y \to a} \frac{f^{'}(y)}{g^{'}(y)} \] が成り立つ。


Michael Spivak著『Calculus 3rd Edition』

p.69 第4章問題2

閉区間 $[a, b]$ の点を記述するとても便利な方法がある。(ここで通常通り、 $a < b$ であることを仮定する。)

  1. 初めに、 $b > 0$ に対して区間 $[0, b]$ を考える。 $x \in [0, b]$ ならば、ある $t \in [0, 1]$ に対して、 $x = t b$ であることを示せ。実数 $t$ の意味は何か?区間 $[0, b]$ の中点は何か?
  2. $x \in [a, b]$ であるならば、 $t \in [0, 1]$ に対し、 $x = (1-t) a + t b$ であることを示せ。ヒント:この式はまた $a + t (b - a)$ とも書かれる。区間 $[a, b]$ の中点は何か? $a$ から $b$ に向かって進むとき、 $a$ からの距離が $a$ から $b$ までの距離の $\frac{1}{3}$ であるような点は何か?
  3. 逆に、 $0 \leq t \leq 1$ ならば、 $(1 - t) a + t b \in [a, b]$ であることを示せ。
  4. 開区間 $(a, b)$ の点は、 $t \in (0, 1)$ に対して、 $(1 - t) a + t b$ という形の点であることを示せ。

解答

  1. $0 \leq x \leq b$ を $b > 0$ で割ると、 $0 \leq \frac{x}{b} \leq 1$ 。$t = \frac{x}{b}$ とおけば、 $0 \leq t \leq 1$ かつ $x = t b$ 。 $t$ は区間 $[0, b]$ を $x$ が分割する比を表す。区間 $[0, b]$ の中点は、 $\frac{b}{2}$ 。
  2. $a \leq x \leq b$ であるから、 $0 \leq x - a \leq b - a$ 。(a)より、 $x - a = t (b - a), t \in [0, 1]$ と書ける。すなわち、 $x = a + t (b - a)$ 。中点は、 $x = a + \frac{1}{2} (b - a) = \frac{a + b}{2}$ 。 $\frac{1}{3}$ の点は、 $x = a + \frac{1}{3} (b - a) = \frac{2}{3} a + \frac{1}{3} b$ 。
  3. $0 \leq t \leq 1$ に $b - a > 0$ をかけると、 $0 \leq t (b - a) \leq b - a$ 、したがって、 $a \leq a + t (b - a) \leq b$ 。
  4. (a), (b)と同様に示せる。

Michael Spivak著『Calculus 3rd Edition』

p.231 定理2

$f$ がある区間内で連続かつ1対1であるならば、 $f$ はその区間上で増加または減少である。

証明

$a_0 < b_0$ を区間内の2つの実数とする。 $f$ は1対1であるから、

  1. $f(b_0) - f(a_0) > 0$
  2. $f(a_0) - f(b_0) > 0$

のいずれかが成り立つことが分かる。 (1)が成り立つことを仮定し、区間内の任意の $a_1 < b_1$ に対し、同じ不等式が成り立ち、したがって増加であることを示そう。(同様の議論により、(2)が成り立つとき、 $f$ は減少であることが示される。) $0 \leq t \leq 1$ に対して、\[ x_t = (1 - t) a_0 + t a_1 \\ y_t = (1 - t) b_0 + t b_1 \] とする。 $x_0 = a_0$ かつ $x_1 = a_1$ であり、点 $x_t$ はすべて $a_0$ と $a_1$ の間の点である。(問題4-2)同様のことが $y_t$ に対しても成り立つ。したがって、 $x_t$ および $y_t$ はすべて $f$ の定義域内にある。さらに、 $a_0 < b_0$ かつ $a_1 < b_1$ であるから、 $0 \leq t \leq 1$ に対して、 \[ x_t < y_t \] が成り立つ。今、 $0 \leq t \leq 1$ に対して、関数 \[ g(t) = f(y_t) - f(x_t) \] を考える。定理6-2を使って、 $g$ が $[0, 1]$ 上で連続であることが容易に分かる。さらに、 $g(t)$ は $x_t < y_t$ かつ $f$ が1対1であるから、 $0$ には決してならない。したがって、 $g(t)$ は $[0, 1]$ 内のすべての $t$ に対して正であるか、 $[0, 1]$ 内のすべての $t$ に対して負であるかである。(そうでなければ、中間値の定理により、 $[0, 1]$ 内のどこかで $0$ になってしまうだろう。)ところが、(i)により、 $g(0) > 0$ である。したがって、また、 $g(1) > 0$ である。これは、(i)が $a_1, b_1$ に対しても成り立つことを示す。

Michael Spivak著『Calculus 3rd Edition』

p.265 定理5

$f$ および $g$ が $[a, b]$ 上で積分可能であるならば、 $f + g$ は $[a, b]$ 上で積分可能であり、 \[ \int_a^b (f + g) = \int_a^b f + \int_a^b g \] が成り立つ。

証明

$\varepsilon$ を任意の正の実数とする。 $f$ および $g$ は $[a, b]$ 上で積分可能であるから、 $[a, b]$ の分割 $P$ および $Q$ が存在して、 \[ U(f, P) - L(f, P) < \frac{\varepsilon}{2} \\ U(g, Q) - L(g, Q) < \frac{\varepsilon}{2} \] が成り立つ。 \[ U(f, P \cup Q) \leq U(f, P) \\ L(f, P \cup Q) \geq L(f, P) \\ \] だから、 \[ U(f, P \cup Q) - L(f, P \cup Q) \leq U(f, P) - L(f, P) < \frac{\varepsilon}{2} \] が成り立つ。同様にして、 \[ U(g, P \cup Q) \leq U(g, Q) \\ L(g, P \cup Q) \geq L(g, Q) \\ \] だから、 \[ U(g, P \cup Q) - L(g, P \cup Q) \leq U(g, Q) - L(f, Q) < \frac{\varepsilon}{2} \] が成り立つ。以上より、 \[ \Bigl[ U(f, P \cup Q) + U(g, P \cup Q) \Bigr] - \Bigl[ L(f, P \cup Q) + L(g, P \cup Q) \Bigr] < \varepsilon \] となるが、明らかに、 \[ U(f + g, P \cup Q) \leq U(f, P \cup Q) + U(g, P \cup Q) \\ L(f + g, P \cup Q) \geq L(f, P \cup Q) + L(g, P \cup Q) \] であるから、 \[ U(f + g, P \cup Q) - L(f + g, P \cup Q) \leq \Bigl[ U(f, P \cup Q) + U(g, P \cup Q) \Bigr] - \Bigl[ L(f, P \cup Q) + L(g, P \cup Q) \Bigr] < \varepsilon \] が成り立つ。よって、 $f + g$ は $[a, b]$ 上で積分可能である。

$\varepsilon$ を任意の正の実数とする。 $f$ および $g$ は $[a, b]$ 上で積分可能であるから、 \[ U(f, P) - L(f, P) < \frac{\varepsilon}{2} \\ U(g, Q) - L(g, Q) < \frac{\varepsilon}{2} \] となるような $[a, b]$ の分割 $P$ および $Q$ が存在する。 \begin{align*} L(f, P) + L(g, Q) &\leq L(f, P \cup Q) + L(g, P \cup Q) \\ &\leq L(f + g, P \cup Q) \\ &\leq \int_a^b (f + g) \\ &\leq U(f + g, P \cup Q) \\ &\leq U(f, P \cup Q) + U(g, P \cup Q) \leq U(f, P) + U(g, Q) \end{align*} が成り立つ。また、 \[ L(f, P) \leq \int_a^b f \leq U(f, P) \\ L(g, Q) \leq \int_a^b g \leq U(g, Q) \] であるから、 \[ L(f, P) + L(g, Q) \leq \int_a^b f + \int_a^b g \leq U(f, P) + U(g, Q) \] が成り立つ。 \[ U(f, P) + U(g, Q) - \Bigl[ L(f, P) + L(g, Q) \Bigr] < \frac{\varepsilon}{2} + \frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon \] であるから、 \[ \int_a^b (f + g) = \int_a^b f + \int_a^b g \] でなければならない。

Michael Spivak著『Calculus 3rd Edition』

p.266 定理6

$f$ が $[a, b]$ 上で積分可能であるならば、任意の実数 $c$ に対し、関数 $cf$ は $[a, b]$ 上で積分可能であり、 \[ \int_a^b cf = c \cdot \int_a^b f \] が成り立つ。

証明

$c = 0$ のときには定理は明らかに成り立つ。 まず $c > 0$ と仮定する。 $\varepsilon$ を任意の正の実数とする。 $f$ は $[a, b]$ 上で積分可能であるから、 $U(f, P) - L(f, P) < \frac{\varepsilon}{c}$ となるような $[a, b]$ の分割 $P$ が存在する。 \[ m_i = \inf \, \{f(x) : t_{i-1} \leq x \leq t_i\} \\ M_i = \sup \, \{f(x) : t_{i-1} \leq x \leq t_i\} \] とすれば、 \[ \inf \, \{cf(x) : t_{i-1} \leq x \leq t_i\} = cm_i \\ \sup \, \{cf(x) : t_{i-1} \leq x \leq t_i\} = cM_i \] が成り立つことが容易に分かる。これより、 \[ c U(f, P) = c \sum_{i=1}^n M_i (t_i - t_{i-1}) = \sum_{i=1}^n c M_i (t_i - t_{i-1}) = U(c f, P)\\ c L(f, P) = c \sum_{i=1}^n m_i (t_i - t_{i-1}) = \sum_{i=1}^n c m_i (t_i - t_{i-1}) = L(c f, P) \] が成り立つことが分かる。したがって、 \[ U(c f, P) - L(c f, P) = c U(f, P) - c L(f, P) < \varepsilon \] が成り立つことが分かる。これは $c f$ が $[a, b]$ 上で積分可能であることを意味する。

次に、 $c < 0$ の場合を考える。 \[ \inf \, \{cf(x) : t_{i-1} \leq x \leq t_i\} = c \sup \, \{f(x) : t_{i-1} \leq x \leq t_i\} \\ \sup \, \{cf(x) : t_{i-1} \leq x \leq t_i\} = c \inf \, \{f(x) : t_{i-1} \leq x \leq t_i\} \] が成り立つことが容易に分かる。 $f$ は $[a, b]$ 上で積分可能であるから、 $U(f, P) - L(f, P) < \frac{\varepsilon}{-c}$ となるような $[a, b]$ の分割 $P$ が存在する。 \[ U(f, P) - L(f, P) = \sum_{i=1}^n M_i (t_i - t_{i-1}) - \sum_{i=1}^n m_i (t_i - t_{i-1}) < \frac{\varepsilon}{-c} \\ U(c f, P) - L(c f, P) = \sum_{i=1}^n c m_i (t_i - t_{i-1}) - \sum_{i=1}^n c M_i (t_i - t_{i-1}) < \varepsilon \\ \] であるが、これは $c f$ が $[a, b]$ 上で積分可能であることを意味する。

$P$ を $[a, b]$ の任意の分割とすると、 \[ \sum_{i=1}^n m_i(t_i - t_{i-1}) = L(f, P) \leq \int_a^b f \leq U(f, P) = \sum_{i=1}^n M_i(t_i - t_{i-1}) \] が成り立つ。 $c > 0$ のとき、 \[ \sum_{i=1}^n c m_i(t_i - t_{i-1}) = L(cf, P) \leq c \int_a^b f \leq U(cf, P) = \sum_{i=1}^n c M_i(t_i - t_{i-1})\\ \] が成り立ち、 $c < 0$ のとき、 \[ \sum_{i=1}^n c M_i(t_i - t_{i-1}) = L(cf, P) \leq c \int_a^b f \leq U(cf, P) = \sum_{i=1}^n c m_i(t_i - t_{i-1})\\ \] が成り立つ。したがって、 $c > 0$ のときも、 $c < 0$ のときも、 \[ \int_a^b cf = c \cdot \int_a^b f \] が成り立つ。

Michael Spivak著『Calculus 3rd Edition』

p.284のメモ

「一般に与えられた関数 $f$ がある他の関数の導関数になっているかどうかを決定することは極めて難しい。このため、定理11-7および問題11-54および11-55は特に興味深い。というのもそれらは $f$ が持たなければならないある性質を明らかにしているからである。」と書かれている。何がいいたいのかについて以下にメモ書きしておく。定理11-7とは、p.200 定理7のことである。

$F$ が 区間 $[a, b]$ で微分可能で、 $F^{'} = f$ であるとき、p.200の例で見たように、 $f$ は不連続な関数かもしれない。もし、 $f$ が連続関数ならば、当然それは他の関数の導関数になっている。したがって、「決定することが極めて難しい」というのは、 $f$ が不連続な関数の場合である。不連続な関数 $f$ が他の関数 $F$ の導関数になっているならば、定理11-7により、不連続点 $x = a$ で $\displaystyle \lim_{x \to a+} f(x)$ および $\displaystyle \lim_{x \to a-} f(x)$ が存在して、しかもそれらが一致するということはない。つまり、

  1. $\displaystyle \lim_{x \to a+} f(x)$ または $\displaystyle \lim_{x \to a-} f(x)$ が存在しない
  2. $\displaystyle \lim_{x \to a+} f(x)$ および $\displaystyle \lim_{x \to a-} f(x)$ が存在するがそれらの値は一致しない

のどちらかが成り立たなければならない。

Michael Spivak著『Calculus 3rd Edition』

p.305のメモ

\[ \int_{-1}^{0} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t = \int_{0}^{1} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t \] が成り立つことが容易に分かると書いてある。以下でこれを証明する。

\[ \int_{-1}^{0} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t < \int_{0}^{1} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t \] と仮定する。 $\varepsilon = \displaystyle \int_{0}^{1} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t - \int_{-1}^{0} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t > 0$ に対し、 \[ \int_{0}^{1} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t - \varepsilon < L(\sqrt{1-t^2}, P) = \sum_{i=1}^{n} m_i (t_i - t_{i-1}) \] となるような $[0, 1]$ の分割 $P = \{t_0, \cdots, t_n\}$ が存在する。ここに、 $0=t_0 < t_1 < \cdots < t_{n-1} < t_n = 1$ , $m_i = \inf \, \{\sqrt{1-x^2} : t_{i-1} \leq x \leq t_i \}$ である。

今、 $P^{'} = \{t_0^{'} = -t_n, t_1^{'} = - t_{n-1}, \cdots, t_{n-1}^{'} = -t_1, t_n^{'} = -t_0 \}$ は、 $[-1, 0]$ の分割である。ここに、 $-1=-t_n = t_0^{'} < - t_{n-1} = t_1^{'} < \cdots < -t_1 = t_{n-1}^{'} < 0=-t_0=t_n^{'}$ である。 \begin{align*} m_i &= \inf \, \{\sqrt{1-x^2} : t_{i-1} \leq x \leq t_i\} \\ &= \inf \, \{\sqrt{1-(-x)^2} : t_{i-1} \leq x \leq t_i\} \\ &= \inf \, \{\sqrt{1-(-x)^2} : -t_i \leq -x \leq -t_{i-1}\} \\ &= \inf \, \{\sqrt{1-x^2} : -t_i \leq x \leq -t_{i-1}\} \\ &= \inf \, \{\sqrt{1-x^2} : t_{n-i}^{'} \leq x \leq t_{n-i+1}^{'}\} \\ &= m_{n-i+1}^{'} \end{align*} であるから、 \begin{align*} \sum_{i=1}^{n} m_i (t_i - t_{i-1}) &= \sum_{i=1}^{n} m_{n-i+1}^{'} (t_{n-i+1}^{'} - t_{n-i}^{'}) \\ &= \sum_{i=1}^{n} m_i^{'} (t_i^{'} - t_{i-1}^{'}) \\ &= L(\sqrt{1-t^2}, P^{'}) \end{align*} である。したがって、 \[ \int_{-1}^{0} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t = \int_{0}^{1} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t - \varepsilon < L(\sqrt{1-t^2}, P) = \sum_{i=1}^{n} m_i (t_i - t_{i-1}) = L(\sqrt{1-t^2}, P^{'}) \] となるが、これは矛盾である。

次に、 \[ \int_{-1}^{0} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t > \int_{0}^{1} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t \] と仮定する。 $\varepsilon = \displaystyle \int_{-1}^{0} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t - \int_{0}^{1} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t > 0$ に対し、 \[ \sum_{i=1}^{n} M_i (t_i - t_{i-1}) = U(\sqrt{1-t^2}, P) < \int_{0}^{1} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t + \varepsilon \] となるような $[0, 1]$ の分割 $P = \{t_0, \cdots, t_n\}$ が存在する。ここに、 $0=t_0 < t_1 < \cdots < t_{n-1} < t_n = 1$ , $M_i = \sup \, \{\sqrt{1-x^2} : t_{i-1} \leq x \leq t_i \}$ である。

今、 $P^{'} = \{t_0^{'} = -t_n, t_1^{'} = - t_{n-1}, \cdots, t_{n-1}^{'} = -t_1, t_n^{'} = -t_0 \}$ は、 $[-1, 0]$ の分割である。ここに、 $-1=-t_n = t_0^{'} < - t_{n-1} = t_1^{'} < \cdots < -t_1 = t_{n-1}^{'} < 0=-t_0=t_n^{'}$ である。 \begin{align*} M_i &= \sup \, \{\sqrt{1-x^2} : t_{i-1} \leq x \leq t_i\} \\ &= \sup \, \{\sqrt{1-(-x)^2} : t_{i-1} \leq x \leq t_i\} \\ &= \sup \, \{\sqrt{1-(-x)^2} : -t_i \leq -x \leq -t_{i-1}\} \\ &= \sup \, \{\sqrt{1-x^2} : -t_i \leq x \leq -t_{i-1}\} \\ &= \sup \, \{\sqrt{1-x^2} : t_{n-i}^{'} \leq x \leq t_{n-i+1}^{'}\} \\ &= M_{n-i+1}^{'} \end{align*} であるから、 \begin{align*} \sum_{i=1}^{n} M_i (t_i - t_{i-1}) &= \sum_{i=1}^{n} M_{n-i+1}^{'} (t_{n-i+1}^{'} - t_{n-i}^{'}) \\ &= \sum_{i=1}^{n} M_i^{'} (t_i^{'} - t_{i-1}^{'}) \\ &= U(\sqrt{1-t^2}, P^{'}) \end{align*} である。したがって、 \[ \int_{-1}^{0} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t = \int_{0}^{1} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t + \varepsilon > U(\sqrt{1-t^2}, P) = \sum_{i=1}^{n} M_i (t_i - t_{i-1}) = U(\sqrt{1-t^2}, P^{'}) \] となるが、これは矛盾である。

以上より、 \[ \int_{-1}^{0} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t = \int_{0}^{1} \! \sqrt{1-t^2} \, \mathrm{d}t \] でなければならない。

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